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ー2013年の活動ー | ||||||||
精神の〈北〉へ
東北の真の再生に向けて 3.11から2年、国策による東北再生への道のりが険しいのは覚悟したとおりのようだ。だからこそ一層、根気と強い意志と大らかな気持ちを持って人々と協力し、再生へ向けた活動に取り組みたい。 東北には、東北独自の文化と周辺の北方諸民族との交流の歴史があり、その気候風土に合った暮らしや産業がある。しかし、古代ヤマト王権による蝦夷(えみし)征討に始まり、その後も続いた中央からの一方向の歴史観と偏見によって、東北の真の姿は未だに明らかにされたとは言えない。「道の奥」でも「北の果て」でもなかった本来の豊穣な東北を掘り起こし、東北人にとってのアイデンティティを根底から見直す作業こそ、揺るぎない再生の礎となるだろう。 北方世界の中の東北をさぐる プロジェクト「精神の〈北〉へ」は、東北と世界の北方の国々の表現を出会わせることによって、それぞれの作品に表れる精神性のなかに、気質、思考、感性を探り、当企画で〈北〉と定義する“北の人同士がもつ共通性”や、差異を見いだしながら交流を深めていく活動である。 数多くの表現に出会いながら互いに共通する水脈を探ることは、精神の〈北〉でつながる世界の連環のなかに位置する、東北を見いだす旅路と言えるだろう。 アートばかりでなく、パフォーマンス、手仕事、伝承の民話や歌、文学、音楽などの多様な表現の比較検証も、表現メディアの違いを越えてつながる〈北〉が明らかになるかもしれない。継続するほどに響き合う精神の〈北〉の広がりと深さの発見を求めて、東北を軸とした世界の北方同士の交流が始まる。 精神の〈北〉へ vol.1 第1回目は、東北のひとつの顔である冬の豪雪地域、会津地方に〈北〉の精神世界を探る。 伝承の有形無形文化財のリサーチ 自然と密接な神々と地域祭礼、暮らしの歳時記、民話や言い伝え、自然からの素材をいただく手仕事など、伝承の有形無形文化財には、人々の感性や気質が反映されており、懐深い自然や厳しい気候も、精神世界を形成する重要な要因と言える。活動のスタートは、地域の人々との交流や聞き取りを通して文化財のリサーチを行い、そのなかに人々の精神性をかたちづくる源を探る。 文化財の作品化 喜多方の貴重な文化財である明治時代の荒物屋、三十八間蔵は、農村の冬期の副業である手仕事による日用雑貨を納める蔵だった。この蔵と会津地方で探った精神性とを撚り合わせ、蔵全体を表現として作品化し、公開する。 蔵の中には、世界の北方地域のアーティストの表現を紹介する空間 “精神の北Map”(仮称)を設定し、東北の精神世界との共鳴を試みる。 被災者の方々と共に考える雪国・会津地方の楽しみ方 海岸地域から会津地方に避難して来ている多くの被災者は、全く異なる気候・環境での暮らしに戸惑いを感じている。雪国である会津地方の冬の暮らしについて共に考え、生活再建に役立てていただく。 リードアーティスト・企画/ 丸山芳子(福島県生まれ) ゲストアーティスト/ Vigdis Haugtro(ノルウェー) Margrethe Aas(ノルウェー) Su Grierson(スコットランド) リサーチ: 福島県会津地方および県内被災地 滞在・展覧会開催地: 福島県喜多方市 滞在・リサーチ期間:2013年1月10日‐3月21日 展覧会: 2013年3月3日‐3月11日 会場:三十八間蔵 (福島県喜多方市字1-4647) 主催/ 「精神の〈北〉へ vol.1」実行委員会 (丸山芳子 : studio mar/ 金親丈史・佐久間 悦子 : 一般社団法人IORI倶楽部 / 川延安直・小林めぐみ : 福島県立博物館 / 馬場 由紀子 : 喜多方まちづくりセンター) 「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」実行委員会 (文化庁 文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業) 精神の〈北〉へ vol.1 記録集発行 A4サイズ、24ページ、フルカラー 編集:丸山芳子 寄稿:赤坂憲雄(福島県立博物館 館長) デザイン:st. CINQ 小野良昌 印刷:有限会社 五十嵐印刷 発行:「精神の〈北〉へ vol.1」実行委員会 連絡先:丸山芳子 e-mail: maryoshi@jcom.home.ne.jp 国際野外展 Kunst I Natur Biennale 2013 ノルウェイ中部、北極圏内のフィヨルドの自然のなかに作家が集い、滞在制作する。自然から得られた材料によって作られた作品は、観客に公開された後、時の経過とともに再び自然に還っていく。2011年に続き2回目の参加。 滞在制作/2013年8月2日〜11日 オープニング/ 8月10日 会場/Yttermark, Kjerringoy, Bodo, Norway Kunst I Nature 板橋区立美術館 現代美術企画展シリーズ 発信//板橋//2013 2011年から開始した新シリーズ「発信//板橋」2回目を、コミッショナーとして夫・丸山常生と共同企画する。 「ギャップ ダイナミクス」 成長した樹々によって、頂きが枝葉でびっしりと覆われた森のなかは、日陰を好む陰樹しか発芽できず、森は次第に陰樹ばかりの森になる。そのような森で、大木が周囲の木を巻き込みながら倒れると、森の頂きには地面まで光が差し込むほどの大きな隙間、ギャップがあらわれ、これまで暗かった森の底に陽光がそそがれ、そこに新たな発芽がはじまる。 ギャップダイナミクスとは、ギャップが生まれた森で、満を持していた陽樹やパイオニア的樹木が発芽し、その後、様々な植物群がダイナミックに移り変わりながら、やがてもとの陰樹の森の平衡状態に戻っていく過程のことである。 2011年3月11日、平穏な日常に突然開いた大きな穴のような非日常 。東日本大震災は、森のギャップが林床をあらわにするように、日常という覆いで見えなかった、人々の内なる意識や感情に光を差し込んだ。 大震災から2年を越えて、非日常を日常として再び生き始めたわたしたち。それは、被災地にも夏草が繁茂し、樹々が実をつけたように、生物である人間もまた現実を生きようとする姿だ。 あの日以来、6人のアーティストがギャップに発芽させた“森を変える種”は何か。それが今、どのように育ちつつあるのだろうか。 会期/2013年11月26日〜2014年1月5日 会場/板橋区立美術館 (東京都板橋区赤塚5-34-27) アーティスト/大矢りか・金沢寿美・任田進一・中津川浩章・丸山常生・丸山芳子 |
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