水の郷の箱舟     2007
アクリルボード、プラスチック素材、
金属素材、写真画像、台、藁、他
敷地:L.10,000cmx W.320cm 広さ可変
舟:L.100cm, W.20cm, H.39cm
宮の森公園/我孫子、千葉
[第10回 我孫子国際野外美術展]
設置作業協力/山田純平、丸山常生、金丸温子、あらかわあつこ、ヒサヨシ
写真提供/「我孫子 みんなのアルバムから」みんなのアルバム同好会 「関東の河川」関東建設弘済会
かつて東京湾に注いでいた利根川を、銚子に向かわせた江戸幕府の治水事業を発端として、我孫子の人々は、利根川と手賀沼に挟まれた水環境により、幾度もの洪水の試練に立ち向かってきたという。ノアの箱舟が、次の時代のために生き残るべきものを乗せて、神が起こす洪水からサバイバルしたのなら、我孫子の箱舟は何を守り、未来に伝えるだろう?
私は、宮の森公園の遊水池である長辺100メートルほどの原っぱに、利根川や手賀沼など我孫子の水地図を描き、そこに、この環境から逃げないで踏ん張る意思を示す大きな錨を降ろした小さな箱舟を置いた。箱舟には、舟をのぞきこんだ人の、記憶や未来への希望が積み込まれるはずだ。
いかに高度文明を築いたとしても、宇宙や自然を前にして人間の存在は小さい。幾度もの失敗、修復、改良を重ねながら未来へ向かう人類のすがたを小舟に象徴させ、銀河のような遥かな時間の河に浮かべようと思う。
透明な箱舟の内部。
3段の層には、上流から河口までの利根川の航空写真。
所々に、我孫子の人々の水と生きてきた日々の画像。欠壊した河の画像。
作品設置途中の大雨の後。撮影:吉藤敏男
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