境界線のはざまで
0107
2001
写真画像、布、アクリルボード、合成樹脂、インク
D.490cm, H.120cm
表参道画廊/東京
国境が繰り返し引き変えられた歴史をもつ地域では、民族の分布と国家の境界線が必ずしも一致しない。国境の変更によってマイノリティーとなった人々がその土地を追われて難民になることもある。異民族間の出来事の中には人間の本性や普遍的な姿があぶり出されて見える。
民族問題に巻き込まれた一般民衆の肖像から、出来事の詳細を知る手掛かりとなる背景を取り去ると、匿名の普遍的なヒトの感情があらわになる。立てられた平面のいくつもの縁取りライン(ボーダー)が錯綜し、点在する肖像のいくつかは狭いラインのはざまに取り込まれる。このことは平面の立て方いかんによって、マイノリティーになるか否かが偶然決定されるということだ。同様に、私たちが幸運にも難民にならずにいられるのなら、それは偶然でしかない。
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