スコットランドとの交流にむけて
昨年の秋、フィンランドでの展覧会をスタートさせた後に英国北方のスコットランドに飛んで、Su Griersonさんの自宅に数日間滞在し、エストニア、スウェーデン、日本からの15年来の旧友たちが再会のひとときを過ごした。
スーさんは、私のプロジェクト「精神の〈北〉へ」の1回目の参加作家で、2013年の冬、福島県会津地方に招き、共に滞在活動と展覧会をしている。今回、彼女から「東日本大震災から10年目の2021年に、スコットランドで『精神の〈北〉へ』を開催しようよ!」と提案された。
このような提案は、とてもうれしい。なぜなら、企画者の私と同様の強い意欲を持った人と取り組むと、推進力がはるかに大きくなるのだ。これは、フィンランドでの開催で確信した。交流国双方で準備すると、意欲も、資金獲得も、広報力も倍、片方でするよりもずっと可能性が広がる。とりわけ、現地の準備は現地にお願いするしかないから、私の負担は減り、私は他の準備に専念できる。
今年に入って、私とスーに、スコットランドのアーティスト、ジリアンさんが加わり、私たち三人は運営チームとして2021年のスコットランド開催にむけて準備をスタートした。少人数のチームワークは強い。だれもが責任感を持って、前へ前へと押していく。
そのさなか、スーはお連れ合いの突然の逝去に見舞われたが、すぐさま自分の方から「芳子、彼が亡くなったことは、このプロジェクトには全く影響しないから」と伝えてくれて、その毅然とした意思表示に、かえって私の方が涙してしまう。
さらには、新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、計画は大きく変更を強いられた。予定していた会場もレジデンスもみんな閉鎖。日本から英国への渡航自体が、かなり難しい。それなら、会うことのできないこの状況の意味を熟慮し、互いの理解を深める新しい方法を見出すことにチャレンジしよう。今後、このコロナ禍がどう推移するか予測がつかないため、そのような条件にフレキシブルに対応できる感性を見せるアーティストにコンタクトし、日本側作家4名が決まった。そして、スコットランド側の作家も4名が決まる。
開催は両国双方がスペースを設定し、両方の展覧会に8人全員の交流が反映され、互いにリンクした開催にしたいと思う。日本側も会場が必要となり、今から来年の会場が獲得できるだろうか…と思案しているところへ、ある企画公募の情報が。応募することにして作家たちと相談しているうちに、考えが整理され、徐々にテーマが明確になっていく。
東北の震災から10年目にむけた、「精神の〈北〉へ」11回目。
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展覧会:精神の〈北〉へ:ふたつの流れが出会うところで
会期:2021年6~7月 もしくは 9~10月
会場:申請中
参加作家:
日本/丸山芳子、浅井真理子、滝沢達史、丸山常生
スコットランド/スー・グリアソン、ジリアン・アデア・マクファーランド、カイラ・クレッグ、インゲ・パニルス