ヒトとウルシ 打々発止の歴史

ヒトは漆液を得るためにウルシの木を掻き、その“返り血”を浴びてかぶれを負う。根気の要る手作業労働に見合わないほどに、わずかな漆液しか得られないにもかかわらず、縄文時代から途切れることのなかったヒトとウルシの関わり。漆に魅せられ、粛々と労働と創造の営みを続けてきたヒトと、全身に傷を負いながら樹液を提供したウルシの、双方に感謝し、喝采を送りたい。

ウルシの木が立つ場を“現在”と定め、過去から未来への時間軸の帯が天井にのびる。帯の表面には、現在最古の出土品である9000年前の櫛からはじまり、現在までの漆を使用した名品の数々が連なる。“未来”の帯にも、これからのヒトの創造力の名品が並ぶだろうか?