地の脈
私たちが生きる地球の表層は、地殻活動や気象的現象、戦争や繁栄を含むヒトの営みによって、その姿を変える。しかし、変わりゆく地表の下に意識を向けると、そこには幾層にも深さを変えて地下水が流れている。
想像してみる。地下水脈に向かって地球上の各地から触手のような根が降り、その地域に適する水脈を探し当てて地域性を醸成している様子を。そうしたら、遠く離れた地に育まれた精神文化同士が、水脈を共有して共鳴するのではないだろうか?
地野菜や地酒が産地の水や土や気候による特色を持つように、人も、生きている地の食や精神文化や経験によって人格を為す。そして、共鳴する相手を求めるだろう。
たとえば東北地方、ラップランド、スコットランド、アイルランド…そして、爆撃されても、その地でずっと昔から育まれてきた精神文化が生き続けている地。
たとえ地表が不寛容の末に荒廃しても、共鳴を求める人の精神は生き続け、奥底に脈々と流れ続けると信じたい。