境界線のはざまで#0203
国境が繰り返し引き変えられた歴史をもつ地域では、民族の分布と国家の境界線が必ずしも一致しない。国境の変更によってマイノリティーとなった人々がその土地を追われて難民になることもある。異民族間の出来事には、人間の本性や普遍的な姿があぶり出されて見える。
民族問題に巻き込まれた人々が写る報道写真から、出来事の手掛かりとなる背景を取り去ると、被写体の人の感情だけが鮮明になる。そのような肖像を写したボードをランダムに立てると、ボードを縁取るラインが錯綜し、肖像のいくつかは偶然狭いラインのはざまに取り込まれる。これは、マイノリティーになるか否かが偶然決定されるということだ。つまり、私たちが幸運にも難民にならずに済んでいられるのなら、それは偶然でしかない。
この作品では、日本の世情からみる、疎外感を感じる人々の姿も取り入れた。