2013年09月08日
板橋区立美術館 現代美術企画展シリーズ 発信//板橋//2013
2011年から開始した新シリーズ「発信//板橋」2回目を、コミッショナーとして夫・丸山常生と共同企画する。
「ギャップ ダイナミクス」
成長した樹々によって、頂きが枝葉でびっしりと覆われた森のなかは、日陰を好む陰樹しか発芽できず、森は次第に陰樹ばかりの森になる。そのような森で、大木が周囲の木を巻き込みながら倒れると、森の頂きには地面まで光が差し込むほどの大きな隙間、ギャップがあらわれ、これまで暗かった森の底に陽光がそそがれ、そこに新たな発芽がはじまる。
ギャップダイナミクスとは、ギャップが生まれた森で、満を持していた陽樹やパイオニア的樹木が発芽し、その後、様々な植物群がダイナミックに移り変わりながら、やがてもとの陰樹の森の平衡状態に戻っていく過程のことである。
2011年3月11日、平穏な日常に突然開いた大きな穴のような非日常 。東日本大震災は、森のギャップが林床をあらわにするように、日常という覆いで見えなかった、人々の内なる意識や感情に光を差し込んだ。
大震災から2年を越えて、非日常を日常として再び生き始めたわたしたち。それは、被災地にも夏草が繁茂し、樹々が実をつけたように、生物である人間もまた現実を生きようとする姿だ。
あの日以来、6人のアーティストがギャップに発芽させた“森を変える種”は何か。それが今、どのように育ちつつあるのだろうか。
会期/2013年11月26日~2014年1月5日
会場/板橋区立美術館 (東京都板橋区赤塚5-34-27)
アーティスト/大矢りか・金沢寿美・任田進一・中津川浩章・丸山常生・丸山芳子