境界線のはざまで#9906

民族問題に巻き込まれた一般民衆の肖像からは出来事の詳細を知る手掛かりとなる背景が取り去られ、匿名の普遍的なヒトの感情があらわになる。立てられた平面の縁取りライン(ボーダー)が錯綜し、点在する肖像のいくつかは狭いラインのはざまに取り込まれる。このことは平面の立て方いかんによって、マイノリティーになるか否かが偶然決定されるということだ。私たちが幸運にも難民にならずにいられるのなら、それは偶然でしかない。